2011年3月28日月曜日

近況無題

バーデン‐ヴュルテンベルクで緑の党が躍進、第二党となった。
第三党のSPDと連立して「歴史的な」政権交代となる見通し。
 
それに先立つこと土曜、
ドイツ各地で総計25万人規模の反原発デモがあった
(ベルリン12万、ハンブルク5万、ケルンおよびバイエルンでそれぞれ4万)。
 
自分個人回りでは:
ここ2週間テレビでも太陽光発電等いわゆる「エコエネルギー」の
電力会社が多数CMを流していたが、
自分の家のポストに来るダイレクトメールでもそういうのが増えた。
 
電気使用量の決算が来た。
前年よりだいぶ使用量が減って、
ドイツ平均の4分の1くらいしか使っていなかった
(例年はそれでも3分の1くらい)。
 
自由大からお悔やみ?援助協力の用意がある旨?の
手紙を受け取った。
 
その他:
U9が工事で29日まではイマイチ。
そんな時に限ってU6も調子悪くって出かけられない日々。
 
パソコンの時計がおかしいと思ったら、
サマータイムが開始していた。
 
2月もよく晴れたが、
3月はもっとよく晴れて、
今年は早めに春が来ていた。
ここ数年春の訪れが遅かったせいで
例年ってのはどんな感じだったか忘れてしまったが、
多分例年より早かったかと。

2011年3月26日土曜日

今週のドイツの様子

週前半は相変わらず「フクシマ」と「ツナミ」が
ニュースのトップと大半だったけれど、
新たに出てくる情報も少なくなったせいか、
あるいはリビアの状態が加熱したせいか、
そっちと半々くらいになったかな。
 
情報を全く開示する気のない東電は
各所で叩かれまくっていて、
某ニュース局でアナウンサーが東電の
情報政策について尋ねると、専門家が
「あれは『政策』と呼べたレベルの代物ではない」
とバッサリ。
同じ局だったかもう1つの別のニュース局で、
東京在住の特派員に話を聞いていて、
その人が、「自分はもう東電の言っていることは
ほとんど信用に値しないと思っている」
とこちらもバッサリ。
ヤフードイツのニュースでは
「すべては秘密にする」が東電のモットー
との記事も出て、「よく見られているニュース」の
ランキングでトップを獲得。
某地方TV局(と言っても平らな国土のドイツでは
全国で視聴可能、地方性の高いプログラムを
組む、ほどの意)では、ARD(日本のNHKに相当)
の特派員が、フクシマ50と言われているが、
東電は以前からホームレスや未成年を
原発に送り込んでいて、今回の対処にもだ、
彼らは日本では「使い捨て労働者(意としているのが
日雇いのことなのか派遣のことなのかアルバイトなのか
不明だけど)」と呼ばれている、等々と
話したのだとか。これはさすがに嘘くさいが、
どういう企業イメージとして受け取られているか
を反映してはいるのだろう。
 
グリーンピースは今回の事故を
レベル7に分類すべきと言っている。
 
ドイツ国内でも日本発の放射性ヨウ素が検知された。
今の所、幸いにして、健康には全く影響ない
レベルとの話だが。
 
いくつかの国で、日本からの食品に高濃度の
放射性が検知されたとのニュースももちろんあった。
ドイツ(というかEU)はもちろん、各国で検査を強化。
当然食品だけではなく入ってくるすべての物品に対し。
 
そんなこんなで、
もう日本だけの問題ではなくなっているわけ。
説明責任くらいは最低限果たしてもらわないと、
日本以外ではどこも、誰も納得しない、と。

2011年3月21日月曜日

ザクセン-アンハルト州議会選挙

「フクシマ」後初の大きな選挙ということで、
全国民と主に各政党が大注目する中行われた
ザクセン-アンハルト州の州議会選挙。
ブランデンブルクの西隣の地域。
 
前回2006年に44パーセントとかっていう
低い投票率に現れていた住民の関心も
今回は否応なしに高まるという‥もの?
今回も一説では51~53パーセントだったって話だが‥。
 
ともあれ。
結果としては、改選前第一党のCDUは
議席を減らすも第一党の座を維持。
FDPは議会の議席を失った。
原発政策にNoを言ったものの、
状況の管理能力としてそれでもCDUを
選んだのだろうとは批評家の言。
CDUは胸を撫で下ろしたことだろう。
 
左派系政党として、
左派党が第二党、SPDが第三党の
ポジションをそれぞれキープ。
二つで票割れしてるんではなかろうか、
とは自分の意見。
緑の党がFDPに代わって議会入り。
これも原発問題の反映だろう。
 
今年はベルリンでも議会の選挙が行われる。
とはいえ、それは9月。まだ先の話。
それよりも来週、3つ(たしか)の州で
さらに選挙が行われることになっている。
その内の1つは前にちょろっとこのブログでも
名前を出したバーデン-ヴュルテンベルク州。
原発のお膝元。
ちょっと前にはシュトゥットガルト21の騒動もあった。
ここも現在はCDUが第一党だが、
これが来週は劇的に変化を迎えることになるのでは、
と各メディアは注目している。
 
と、今回は珍しくベルリンじゃない話。

2011年3月20日日曜日

その後のドイツの様子

週明け後直ちに、メルケルはドイツ国内の原発7機を停止。
国会では原発を巡る議論が白熱。
メルケルら原発推進の右派に対し、
ドイツで左派は政治的左派というより環境系左派。
緑の党は一気に支持率が上がったらしい。
今回のメルケルの対応の速さは
近くに行われるらしい選挙をにらんでのものだそうな。
それにしても「フクシマ」と「ヒロシマ」が
韻を踏んでいるせいで、対の概念になりつつあるなあ。
 
街の人々はというと、
薬局でヨウ素タブレットを買いに行ったり、
電器屋ではガイガー計測器が品切れになるほど売れたり、
そんなことをしていたのだそうだ。
 
週後半からは徐々に別のニュースも入るようになって、
それでもまだニュースの大半は日本関連かな。
 
そんな中、最近撮った写真の整理をしていたら、
以下、すべて地震発生前に日本大使館に行ったときの
ものなんだけど、

煙もくもく。
写真だと伝わらないかもしれないが、
故障しているんじゃないか、というくらい、
推定水蒸気が辺りに発散されていた。
何かやばかったらどうしようか、と思ったので、
通るとき息を止め、
通った後コートをはたいたのを思い出した。
 
日本大使館横、鉄骨丸出しの建物。
 
技術の象徴セグウェイ。
 
‥と、何と言う文脈を読んだ写真群なんだろう、と。
このブログは「記事にするとはずれる」ブログ。
ちなみにこの後撮ったツォー駅周辺の写真は
不謹慎過ぎて載せる事が出来ないレベル。
こう書いておけば大丈夫だろう。
 
その代わりにと言ってはなんだが、
こんな写真で心を癒して下さい。

2011年3月16日水曜日

ヤフー・ドイツがトップページで東電批判

社長・副社長が3人並んだ写真で。
これは‥すごいな。
眠いので記事は明日読むことにする。
実は読まなくても大体内容は分かっている。
ドイツでは有名な話なんだ、
東電の体質っていうのは。
非常に悪い意味で。

2011年3月14日月曜日

日本大使館

写真は先週月曜のときのもの。
この時は今のような事態になるなんて、
まったく予想だにしていなかった。
 
今はこの植え込みのところに、
慰霊に訪れた人々が置いていった
花やロウソクが並んでいる、
との様子が昨日テレビで流れていた。
 
一応ついでながら、
大使館に用があって訪れる人用の入り口はこちら。
 
同敷地内、在外大使公館
(名前が合っているかかなり微妙)。

2011年3月13日日曜日

ドイツの対応・2日目

昨日の先発隊に続き、
救助支援隊38人が捜索犬3匹、
12トンの物資と共にドイツを発つ。
 
首相メルケルは緊急会合を召集。
その後副首相のヴェスターヴェレとともに会見。
技術先進国日本で起きた事態は
世界の一切開面(=どこででも起きうること)とし、
ドイツ国内にある原発を再点検する意思を明かした。
 
ドイツ国内では反原発デモが行われ、
バーデン・ヴュルテンベルク州、原発の周辺では
6万人が45kmに及ぶ人間の鎖を作った。
ベルリンでも首相官邸前で自然組織された反原発デモ。
 
夕方以降は日本政府発の情報もなくなったこともあって、
現在までニュースではこれまでの情報およびその要約の反復。

2011年3月12日土曜日

ドイツから日本へ国際電話をかける方法について

場合が場合、ドイツから日本の家族・知人等と
連絡を取る必要がある人もいるかと思うので。
割と有名な方法だと思うが、
知らない人もいるかもしれないので、一応。
そしてまた一応ついでに、
現在電話自体繋がらない場所もあるようだし、
繋がっても混雑が予想されるので、
その辺は個人の判断で。
 
街中、あるいは駅内のキオスクに行くと、
上のようなCalling Cardと呼ばれるカードが売っている。
これはプリペイドで、値段は大体5ユーロから。
色々なところが出していて、
同じ値段でも話せる時間が違う
(同じカードでも日によって違ったりもする)。
店の窓や壁に貼られたチラシにどれくらい話せるかが
書かれているが、それはあくまで目安。
実際にはそれよりもだいぶ短い時間になる。
どれだけかけられるか、こればかりは
使ってみるまで分からないと考えていい。
それでも普通に国際電話をかけるよりは
ずっと安く済む。
 
かけ方は簡単。
カード背面に書かれた電話番号にまずかける。
すると暗証番号の入力を求められるので、ダイヤルする。
(暗証番号も背面のコインや爪等で削って出てくる
箇所に記載されている。)
後は普通に国際電話をかけるとき同様
番号をダイヤルするだけ。
 
注意事項。
気をつけるべきことは、買うときに、
自分がかける手段(固定電話、携帯あるいは公衆電話)
の対応をお店の人に聞くこと・あるいは確認すること。
 
ちなみに固定電話からだと一番長くかけられるらしい。
自分の家に電話がないので確認したことはないけれど。
そして、公衆電話もまた、かなり微妙で、
というのもこれらのカードが使う0800番号が
遮断されている場合があるから。
自分の場合まさに昨日それにあって、
その場合はテレホンカードか小銭を入れて、
別のアクセス番号(大体はベルリンならベルリンの
市内局番になっているか0180とかそれ系)に
かければ繋がるらしい。
まだ自分も試していないので確言は出来ないけれど。
この場合はそのアクセス番号への通話料が別途かかる。
 
もう1つ、これはそれほど気にしなくても
いいような気がするが、一応。
かける先の国に対応しているかも
確認しておいた方がいいかも。

こちらでもニュースでは

昨日金曜の朝以降、
ドイツでもテレビのニュースは日本で起きた地震一色。
 
津波による被害を映した映像は
こちらでもかなりの衝撃をもたらした。
 
ヨーロッパ各国およびアメリカは
早急に対応と協力の声明。
ドイツの災害救助隊も日本に向かったとのこと。
ここ数年世界各地で起きた地震のためか、
初動の速さはさすがだと思った。
 
その後話題の中心は徐々に福島の原発へと移っていき、
今朝はもうほぼその話題である。
専門家に立て続けに話を聞いている。
何を言っているか、ということについては
今は書かないことにする。
情報量として何か加えられることは勿論ない、
ということと、それ以上に、
確かなことはまだ誰にも分かっていないので。

2011年3月10日木曜日

経過5: 国際学生証の取得へ

家に帰った後は早速国際学生証について調べてみた。

それが最初の記事で書いた
Studentenwerk(=訳「学生組合」?)。
幸いなことに火曜(つまり翌日)が
開いている日だったので、早速。
 
初めて来る場所だったので、
着いた直後インフォセンターに聞いたら
一度出たところにある「社会相談課」
(これも訳が分からないけれど)に行けと言われ、
そこに行ったら整理券を引いて待てと言われ、
その後該当する部屋に行ったら、
また前の(今来た)建物の中にある
旅行事務所へ行け、
と最初こそこんなたらい回し。
 
件の旅行事務所の場所が分からなかったため、
再度聞きに行ったのだが、
2度目の対応に
その担当の人の顔にはもう既に
隠しきれないストレスが現れていた。
これだよ、これが「ベレスティグング」の表情だ。
だから検札はドイツ人には身分証の提示を要求しない。
 
ともあれ、その後確かに旅行事務所は見つかった。
というか、完全に自分の見落としで、
普通にそこにあった。
小さくて分からなかっただけ。
そこで向こうの人が出してきた記入用紙的なものに
必要事項を書き込むだけ。
こっちが書いている間にも
向こうの人がパソコン打ちしているので、
本当にすぐ出来上がった。
10分とかそんなくらいの所要時間だったと思う。
ここを探していた時間の方が長かったくらい。
 
そんな風にしてやっと「身分証」を手に入れた自分は、
やっとその翌日水曜、土曜に返すことの出来なかった
本を返しに図書館へ行くことが出来た。
そして、その途上、また検札に出くわした。
さあ、かかってこい!!
‥ゼメスターチケットの提示だけで済んだ。
これはこれで‥もうこいつら本当に(笑。

経過4: 月曜日、大使館そしてBVGへ

月曜日。

BVGのコンピューター処理の都合か何かで
お客様センターには12時以降に行かねば
ならないことになっていた。
それゆえ午前中に大使館へ向かう。
 
普通に用件を言って、荷物検査を受けて、
といつも通り。
 
大使館の人にこれまでの経過込みで
パスポートの認証コピー、コピー証明が欲しい、
との旨を伝えた。
返事としては、日本大使館では国内外を問わず、
そういった事は一切行っていない、とのこと。
実はそうかもしれないとの事は、
ベルリンに住む日本人の情報交換的な場を
設けている掲示板で似たような事案について
質問があったため、薄っすら予期はしていた。
代わりに、もしそういうことを今後(そしてこれから)
要求されたら、ここに電話するよう相手に説明すればいい、
と大使館の連絡先が書かれた紙をもらった。
 
そしてそのままヤノヴィッツブリュッケの
BVGの根城へ向かう。
意外に人は少なく、すぐ自分の番が来た。
これは別の日本人の方もブログだったか
ホームページだったかで書いていたことだったが、
窓口の人は検札の出来損ないとは異なり、
かなり「いい人」なのだ。
何ていうか、気勢が見事に削がれる。
それでも立ち上がりから「無罪の証明に来た」
と言ってのけた手前、きちんと説明した。
そうしたら、コピーの認証・証明があるかとか、
そういうことではなく、そもそもコピーであれば
全て無効なのだという。
数年前聞いたときはそっちがコピーを
持ち歩けと言ったのに、
という質問には最後まで答えてもらえなかったけれど。
ともあれ検札の言い分が滅茶苦茶だった
ことだけは分かった。
どうすればいいか聞いたら、
その答えが国際学生証の携帯だったというわけ。
 
で、7ユーロ払って、帰宅の途。
昨日考えていたありとあらゆる角度からの文句の山は
もう既にどこかへ消えていた。
政治、宗教、法律、から文学のもじり、季節ネタまで
色々なパターンを頭の中では用意したんだけれど(笑。
なんかもういいか、と。 

経過3: 警察署へ乗り込む

ドイツの警察に行くのは初めてだった。

ドイツでは警察も土曜は「時間外」扱い。
正面玄関にて、時間外の場合
インターホンを押して用件を言うよう但し書きがあった。
インターホン越しの会話に抵抗があったので、
別の入り口の矢印を頼りに駐車場の方へ向かったが、
丁度そこに番をしている人が居たので、
その人に用件を話した。
ちょっと変な顔をされたが、やはりインターホンを使えとのこと。
この表情の意味を数分後に知ることになる。
 
インターホンを使って、用件を言って、
中に入れてもらって、受付めいたカウンターへ。
そこで再度用件を話す。
パスポートの認証コピーが欲しい、
あるいはコピーはあるので認証してくれるだけでもいい、
とかそんな感じ。
すると、答えは、
「警察ではそういった案件は取り扱っていない」。
ドイツ人だったら市役所(市民局)へ行けばいいし、
そうでない場合は自分の出身国の大使館へ行け、と。
 
月曜は大使館か。
 
日曜はどこも閉まっているので、
家で今回の件について調べていたり、
明日どうやって文句を言ってやろうか、
とかそんなことを考えていた。 

経過2.5: BVGとGSE

経過3に行く前にちょっと背景説明。
 
BVGと言うのはベルリン市交通局。
ベルリン市内の鉄道・地下鉄・バス・路面電車‥と、
主要交通機関を独占している会社である。
 
電車内の検札はしかし、BVGが直接行っているわけではない。
検札はGSEという警備系(?)の私企業に委託されている。
 
ベルリンではちょくちょくSバーンが落書きされただの、
それこそ壊されただのという話が新聞に載るのだが、
自分は今回の一件で、そういうことをする人間の
気持ちがちょっとだけ分かった気がした。
何もしていない人間に支払わせるということは、
逆に言えば、向こうがこちらに借りを作っている
ということでもあると考えるなら、
それを何らかの形で取り立てようと思う人間もいるだろう。
7ユーロ分の落書き、40ユーロ分窓ガラスを割る、
といったように。
何かバスの運転手が襲われるとか、
そういったことも色々蓄積された鬱憤みたいなのが
あってのことなのかもしれない、とか。
 
だが、上に書いたようにBVGはGSEではない。
仮にそれがBVGによる批判逸らしなのだとしても。
 
このGSEという会社、実は調べてもあまりよく分からない。
自分の感覚だが、多くの人は存在を知らないのでは、
とも思う。つまり検札もBVGがやっている、と思っている
人が多そうだな、と。
このGSEはあまり表沙汰にはなってこない。
それほど新聞を読んでいるわけではないけれど。
メディアが扱わないとかっていうのは
メディアの問題なので特に書くことはない。
が、このGSEという会社自体、非常に不透明なものを
抱えている感があるというか、何か胡散臭いものがある

ということは調べてみて分かった。
 
例えば。
GSEはキセル犯取締り1人についていくらいくら、
と報酬を出している(金額は明らかにされていない)。
そのことによって検札員の取り締まり意欲を煽っており、
検札員は検札員で自分を「賞金首稼ぎ」だと
感じ出す人間が続出しているのだとか。
さらに低賃金と法的にアウトな労働時間。
これらが相まって、捕らえた獲物は逃さない、
いや、逃せない。
パスポートのコピー認証なんて
留学するときにさえ必要なかった。
極端に言って個人が信用するか否か程度の話。
だが何を言おうと「仕方がない、今回だけ」とはならない。
モラル<金。
普段から罪悪感を感じるようなことをしている人間ほど
日曜には教会に行きたがるもの。
だが、他者にかける慈悲を持たない人間に
神が慈悲を向けてくれるとでも?
それでも教会税は払っているのだろうな。
その偽善ぶりには脱帽せざるをえない。
 
以下の話のために「belästigen」という
ドイツ語に馴染んでもらおう。
「ベレスティゲン」と読み、
意味は「煩わせる、悩ます、つきまとう」。
Lastというのが「重荷、負荷」さらには「負債」を意味し、
すなわち、この動詞は主として精神的な苦痛を
表現するのに使われる。
「セクハラ」の「ハラスメント」のドイツ語訳は
ベレスティグング(名詞形)である。
乗車券の検札も、これはかなり軽微
(システムもそういう決まりがあることも
みな理解しているため)な部類とはいえ、
それでもわざわざ乗車券を出さねばならないので
ベレスティグングである。
それゆえ検札はベレスティゲンする相手を選ぶ。
無論ここには人種差別主義的な要素と、
ドイツ人がほとんど本能的と言っていいほどのレベルで
身に染み付けて来た権威主義的な要素が交錯する。
 
ドイツに来たての外国人はまず物乞い、宗教等の勧誘、
こういったものに付きまとわれる。
それらはベレスティグングであり、
ドイツ人にそういう事をすると物凄い剣幕で怒鳴られるだろう。
あるいはそこから何らかの形で彼らに非難の空気や
不評が形成されるかもしれない。
下手すると新聞等で「問題」として
取り上げられてしまうかもしれない。
そういうことが分かっているので、
彼らは「ドイツ人でない人間」を主なターゲットにする。
ベレスティゲンしても自分に二次被害が返って来ないよう、
首尾よく計算された防衛線を張っているわけである。
検札もこれと全く同様の行動を取る。
自由大生のためにあると言って過言ではないU3に乗っていて、
要は自分の周りの大半がゼメスターチケットで
乗車している状態で、身分証の提示を自分だけが求められる、
そんなことはかなりざらにある。
前に、「自分はトルコ系だけどトルコ人じゃない、ドイツ国籍も
ドイツ発行のパスポートも持っている」と検札に怒鳴って、
あるいはほぼ罵声を浴びせていた女の子もいたのだけど、
ともあれ、そういうのももう何回か目にしている。
メランコリー気質の人間の内に抱える鈍い怒りの向かう先が
ドイツでは「外国人」であるというわけ。
その手の低級サディスムから快楽を引き出す
(そしてまさに「報酬」も得る(笑))
人間はそれによって自分の存在価値を確認するのだが、
何のことはない、ドイツではこの手の人間は
昔ある時期そこら中に溢れていた。
ナチス親衛隊によるユダヤ人狩りと密告報酬、
両者を足して2で割って現在の社会システムに統合したのがGSE。
 
ちなみにドイツ人と思しき人が身分証の提示を
求められているのは、6年いて1度しか見たことはない。
検札は「外国人」と同じ車両に乗り込んでくる傾向がある。
それは長く居ると経験的になんとなく分かってくるもの。
色々調べてみるうちに見たインターネットの
掲示板なんかでは、
最近一日2、3度検札が来るんだが、
との外国人の書き込みに対し、
「オレんとこに最後に検札が来たのなんて3ヶ月以上前だぜ」
とかいうドイツ人による返事があって、とても笑った。 

経過2: 駅のホームで

駅のホームに降り立ったら、
住所等々の記入をさせられる。
 
キセルだと罰金は40ユーロなのだが、
その時に有効な切符を持っていたとか、
自分の場合の用に有効な身分証を持っていなかった、
といった場合には、
一週間以内に窓口で証明すれば罰金が7ユーロになる。
つまりパスポートのオリジナルを持って行って見せればよい。
 
これも変な話で、というのも、無罪を証明してなお
罰金を払わねばならないのだから。
 
それはしかしまだ先の話。
今は目の前に居るこの頭のおかしいやつに
食い下がることが重要だろう。
‥効果はなかったけどね(笑。
 
振込み用紙みたいなのと、
簡易約款+お客様サービスセンターの地図付き
の紙を渡され、淡々と説明をされる。
途中で自分の乗車券がどうとかこうとか
言っておばさんが割って入ってきたが、
そのおばさんに彼が向ける表情
(と自分に向けるそれとの違い)を見て確信した、
ああ、この人は手遅れだ、と。
 
一応書いておくと、身分証を家に置いてきてしまって、
丁度そんなときに限って検札に合ってしまい、
罰金を払う羽目になった、とかという話はよく聞く。
自分の今回の場合は、身分証を持っていたのにも関わらず、
それにコピー証明の印がないから、という理由。
ここまで行くとほとんど匙加減一つ、ではないかと思う。
コピー証明の印が押されていたとして、
そうしたら彼は今度はその印が正式なものである証明を
求めるのでは?論理上いくらでも遡及可能。
そして証明の証明、コピーのコピー、と、以下無限に続く。
このことは後で再び取り上げるかもしれない。
 
一応最後に、それではその「証明印」は
どこで押してもらえるのか、聞いてみた。
答えは「警察か市役所(住民課)か大使館」。
 
土曜なので開いていそうなのは警察しかなかった。
まず警察へ向かうことにした。

経過1: 車内検札

これはこの前の土曜日のこと。
借りていた本を図書館へ返しに行くべくU9に乗り込んだ。
ちょっと行ったところで男性が乗り込んできた。
 
言うまでもないかもしれないが、一応書いておくと、
ベルリンには改札がないので、
検札は電車内で抜き打ちで行われる。
向こうからすればキセルを現行犯で
取り締まらねばならないわけで、
普通は自分の素性がそれと分からないよう、
何食わぬ顔をして乗り込んできて、
ドアが閉まった段階で「乗車券ビッテ」と言ってくる。
だが、場合によっては目つきや顔つきで、
乗り込んできた瞬間に、ああ、こいつは検札だな、
と分かることがある。
この日がそうだった。
 
さて、なぜ彼が検札だと分かったかと言うと、
入ってきた瞬間に自分に目を付けてきたのを感じたから。
 
しかし案ずることはない。
別にキセルしているわけではないのだから。
財布からゼメスターチケットを出して待っていた。
するとこれも案の定、身分証を持っているか聞かれた。
 
これまた一応書いておくと、
この車内検札のやり方にも個人で差がある。
自分の場合は7割くらいかな、
ゼメスターチケット(学生証でもある)の提示だけで済む。
だが中には、そして顔に思いっきり
「我、人種差別主義者なり」と書いてある人は特に、
身分証の提示を要求してくる。
「これ本当にお前のか?」というわけだ。
ドイツの大学に学籍を置こうとすれば
パスポートから住民票から保険等々、
ありとあらゆる個人情報を提供せねばならないわけで、
学生証こそ最強の身分証明のはずだが、
ベルリンの大学の学生証は紙にカラー印刷されただけのもの。
写真もなく、貸し借りされかねないため、
「身分証またはパスポートを携帯のこと」という
付帯つきである。
さて、では何を持っていればよいか、である。
「身分証」。自動車免許とかがあればいいのかもしれないが、
自分は持っていないので良く分からない。
想定されているのはドイツ人が持っている「身分証」のことだろう。
これは財布にも入るサイズで、
ドイツ人は常にこれを持ち歩くよう義務付けられていたと思う。
後述するが、この身分証を申請するには
ドイツ国籍が必要なため、外国籍者にこれは無理。
「パスポート」。残るはこれのみ、となるが、
ドイツでパスポートを常に持ち歩くなんて結構危険である。
落とす等紛失の可能性もあるし、
何となく気がかりでストレスにもなる。
数年前にBVGの窓口に行って尋ねてみたところ、
その時はパスポートのコピーを持っていればOK、
と言われたので、自分はそれを財布に入れていた。
 
さて、話は本線に戻る。
検札に身分証(パスポートのコピー)を見せた。
すると彼がこんなことを言い出した。
「このコピーがオリジナルのコピーであることを
証明するための印が押されていないので、
これは身分証明として有効ではない、次の駅で降りろ」と。
今まで何年これでOKだったと思ってんだ、と、
心の中では思ったが、口にはやんわりと、
今までは有効でしたよ、なんて言ってみても、
向こうは聞く耳持たず。
これは電車を降りてもなお、だった。
 
電車内でこういう時、何が辛いかって言えば、
周りが一斉にこっちを見ること。
それも思いっきり非難の目で。
その剣幕といったらない。
似たような状況には、スーパーとかで
外に出ようとしたら防犯ブザーが鳴ったときが挙げられる。
今買ったばかりのものしか持っていないというのに。
向こうのセキュリティの人が来て、
何かバーコードをごしごし擦って、
そうしたらそのまま通って行けたが、
その間の人々の目の冷たさったらない。
いや、もうあれは冷たいと言うより、
憎悪に燃えて、むしろ熱いくらいである。
グッサリ刺さるね。
で、スーパーの防犯ブザーの過敏な反応は
実はよく見る光景でもある。
そして、よく見るだけによく分かる。
その場にいるのがドイツ人だと笑い話なのに、
いわゆる「外国人」だと上記の常軌を逸した反応になる、と。
「静かな差別」とか「受動的差別」とか言われる現象であるが、
それはドイツの人々の間に物凄くよく浸透しているのが分かる。
彼らは心のどこかで「外国人」=「犯罪者」だと思っていて、
こういうことが起こるや、それ見たことか、とか、
やっぱり、とか、実際には多分それ以上にやや憎しみの強い
感情を抱くのだろう。
 
かくして車両内老若男女すべての視線を背に電車から降りた。

ベルリンの電車内検札で認証されたパスポートコピーの提示を求められたら

今回はベルリンに住む人(主に学生)に向けて。
 
ベルリンのSバーン、Uバーンに
ゼメスターチケットで乗っていると、
しばしば身分証の提示を求められることがある。
以前ならパスポートのコピーを持っていれば、
それを提示するだけで良かったのだが、
どうも最近その仕組みが変わったらしく、
この前検札の人に
「コピー証明のされていないものは無効だ」
などと言われてしまった。
 
自分の経験したことが誰かの役に立つかもしれないので
これから事の顛末を事細かく書いていこうと思うが、
そんなに長い文章を読みたくない人のために
あらかじめ結論だけを書いておこうと思う。
 
パスポートのコピー証明、認証コピー、
その他どんな日本語訳なのか分からないが、
ドイツ語で「beglaubigt」なパスポートコピー
と言われるもののことである。
そんなものはない!存在しない。
しかもBVGのお客様センターの窓口の人によると、
あるいはそれを持っていても有効ではないのだそうだ。
 
ではどうすれば良いか。
解決方法は国際学生証を作る
 
作り方。
Hardenbergstr. 34、
そこにベルリン工科大のメンザがある。
地上階に旅行代理店みたいなカウンターがあって、
1.パスポート
2.学生証
3.パスポート用顔写真
4.12ユーロ
の4つを持っていくとその場ですぐに作ってもらえる。
//(顔写真:追記3月10日)//
自分は自由大の学生だが、
フンボルト大生であろうと工科大生であろうと、
ここで作ってもらえる模様。
詳細はStudentenwerkのホームページを参照して下さい。
主に開いている曜日と時間の確認のために。
 
 
さて、それでは文句の始まり(笑)。