2011年7月21日木曜日

リーガ・トータル・カップ雑感

リーガ・トータル・カップというのは、
ブンデスリーガの開幕も差し迫ったこの時期に
基準は不明だが4チームが招待されて開催される
トーナメント形式のカップ戦である。
今年はドルトムント、バイエルン、マインツ、ハンブルクの4チーム。
試合は30分ハーフで行われ、
初日がいわば準決勝、翌日に3決と決勝、
と連続する2日間の日程で行われる。

開幕直前なんて言っても、いや直前だからこそ、
今が体的には最後の追い込みの時でもあるのだろう。
各選手まだまだ体が重い。本調子とは遠いコンディションだった。

一応優勝はドルトムントだった。
特に体が重かったのは香川で、
シーズン中にこんな調子だったらレギュラーの座が
危うくなるようなミスを連発していた。
これについてはしかし上に書いたとおり。
それに加えてさらに、香川はドイツに来てまだ1年、
ただでさえキツいトレーニングに加え、
日本人選手は体を造るため追加でフィジカルトレーニングを
課されていそうなことは想像に難くない。
むしろこの時期なのにキレキレだった
同チームDFのサンタナの方が心配。

バイエルンは今期、これまでのところはだが、
例年話題を呼ぶ攻撃面での「大型補強」を行っていない。
代わりにやっと守備面を強化する気になったようだ。
だがノイアーの移籍には個人的にはかなり疑問符。
バイエルンに移ってきて成長した選手というのをここ数年見たことがない。
ノイアーのバイエルン移籍の話が出たのはまだ昨シーズン中だったが、
それ以降のノイアーからはあの神がかりっぷりが消えてしまった。
今回のカップ戦でもちょくちょくミスしていた。
そして彼個人というよりもチーム選びとしての疑問符。
バイエルンのクソディフェンスには調子を狂わされるだろうなあ、と。
3決試合のときなんか、相手フリーキックの時に作った壁が
左は左に飛んで、右は右に飛び、
見事に真ん中のシュートコースに穴を開けるという
中々見ることの出来ない芸当をやってのけ、
ノイアーがブチ切れるという事件が発生した。
さらに、まあこれは自分の見間違いの可能性もあるが、
ノイアーは壁4枚を指示していたのではないかと思う。
実際には壁は5枚いた。
バイエルンではこんなのを一々カバーしていかねばならないのである。
この日相手の2点目のゴールとなるゴール前の横パスの時、
走り込んできていたDFはズッコけていて仕事してなかったし。
見ていて爆笑してしまった。

バイエルンは成長には適さないと書いたが、
もちろん宇佐美には例外。
3決の試合には、この日のバイエルンはメンバーを落としてきたとはいえ、
宇佐美は先発で出場していた。
バイエルンのスポーツディレクターが名指しで褒めていたように、
それなりにいい仕事をしていた。
ポジション的にはロッベンの控えであり、
ロッベンはおそらく今季も半分くらいはお休みするであろうので、
意外に早いブンデスデビューとなるのではないか、と思っていたが、
この日宇佐美と交代で入ったのは天才ミュラー。
ロッベンを交代させてもミュラーを右にコンバートしてくる
可能性もあるとなると、ちょっと出場機会に響くかもしれない。
ただ、この日のミュラーの動き方は宇佐美にとって大きなヒントになったはず。
というか、ロッベンはあれはもう真似しようとして真似できるものではないから、
むしろミュラーから学ぶべきことは多いと思う。
宇佐美とは全然違う動きしていたから。
宇佐美はベッタリ(あるいはかなり忠実に)
サイドアタッカーとしてサイドに張り付いていたのだが、
ミュラーはガッツリ中央に入ってそこでプレーしようとする。
書きながら記憶を確かめているともしかしたら
ミュラーは中央のポジションに入ったのではとも思えてきたが、
ともあれ、ポジションがそもそも違うんじゃないか、
というくらいの違いはあった。
宇佐美はディフェンス面で貢献するために下がって、
それが逆に相手にサイドを差し込まれる形になるという
シュトゥットガルト岡崎状態にも何度かなっていたが、
となるとやはり岡崎同様得点から遠ざかってしまいかねない。
逆サイドの「働き者」オリッチを参考にした動き方だったのかもしれないが、
このオリッチという男もまたかなり例外的なところがあって、
彼があんなところまでというほど下がることが許されるのは、
それにも関わらず上がりに遅れることがないため。
長友のサイドアタッカー版みたいなものだと言えばいいか。
普通の選手がこれをやってしまうと
攻撃参加が遅れ、枚数が足らず、…となってしまう。
要は宇佐美はもっと攻撃に比重を置く形でも全然OKだろうな、と。

マインツのことはよく知らない。
昨シーズン飛躍の原動力は何だったのか、とか。
なので割愛させてもらう。

ハンブルク。ハンブルクかあ…。
ここは毎年いい選手を連れてくる。
選手個人を見ていればかなりいいところが揃っていると思う。
経営陣とか上の人間はきっともうずっとブンデス優勝を狙っているはず。
昨シーズンのドルトムントとか、
少なくとも2位定位置のレバークーゼン級にはなれるはずだと思う。
なのに結果はどうもついて来ない。
自分の中ではハンブルクは「傭兵部隊」である。
個々の選手の力量が高いのだが、
その合計未満しかチームとしての力になっていない。
規模とランクを落としたレアルマドリードみたいな印象がある。
今季も英プレミアのチェルシーから5人引っ張ってきたらしい。
これはこれですごいことだが、ハンブルクの未解決問題、
ドイツ語での意思疎通に支障、はなお解決されないままだろう。
監督が上手く纏め上げる事に成功すればいいのだが、
どうもそういうカリスマタイプには見えないし。
それなりに実力はある分選手の我も強そうだし。
今回の大会でも、味方が相手のスライディングを受けて倒れているのに、
皆で審判に詰め寄ってはいるものの、
怪我をしたかもしれないそのチームメイトのところには
誰も行かないという、実に象徴的なシーンがあった。
その後の時間帯で、ヘディングで頭をぶつけ合って選手が痛む、
割とよくある場面があって、そこで審判に抗議したヤロリムに
イエローカードが出されていた。
だがこの抗議は先ほどのとは意味合いが異なる。
こっちはチームメイトのためにカードを受けてまで行った抗議であるから。
もちろんヤロリム自身、抗議に行くほどの
場面でないことは分かっていただろうし、
自分がまだその試合でカードをもらっていないこと、
累積警告の心配をする必要もないこと、
等々分かった上でそういう行動を取ったのだとしても、
そういうことをしてもらったチームメイトとしては
やってやろうって気になるってもの。
皆が自分が自分がって言っているようなチームにあって、
こういうのこそがハンブルクに必要なことかと思う。
ヤロリムは自分の中で男を上げた。
いいやつだ。顔は怖いけどね(笑)。

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