テーゼなんだけど、完成後ドイツ人の友人に見てもらった。
彼は僕の論文の方も読んでいる。
返事はもうそれはというくらいボッコボコ。
10個に満たない文しかないのに。
これは爆笑した。
一言でまとめるとテーゼとして「弱い」のだそうだ。
ひるむな、とか書いてあって、うぇ?って話。
論文の方のインパクトが強すぎて、
テーゼの方だってちょっと冷静に考えてみると
どの文もそれ一つでかなりとんでもな話になっている
はずなのだが、もっと凄いのを期待されていたらしい。
論文の中から直接そのまま引き抜いてきたって
もっといいテーゼがいくらでもある、とか叱咤激励されても
ちょっと論文の構成上からしても難しい注文だった。
というのも、自分の論文は結論ありきでそれを
証明すべく証拠を挙げていくという書き方ではなく、
推論を展開していく書き方。
それも結論をかなり多方向に向けて展開していったので、
一つ一つのテーマに関してこれだけ、という結論が
あるわけではなかったから。
一番初めの部分はもちろんテーゼにならないとしても、
結論全体として一般化したものをテーゼにしようとすると、
どうしても抽象的になって、そこから説明を加えていく形になる。
だからどうしてもテーゼは弱く見えるものになってしまう。
さてどうしたものか、原稿と一緒に書き直しか?と思ったが、
論文を(割としっかり)読んだ人間に対する発表と、
そこまででない(多分しっかり読んだのは主査の
教授だけだと推測)人にいわば予備知識なしに
ガッツリ浴びせかけるような発表は違うんでないか、
みたいな話をしたら、ああ、そういえば誰に対する
発表なのかも重要だな、忘れてた、みたいな返事をもらった。
おい。
危ない危ない。
まあでもちょっといいアイデアが浮かんで、
テーゼの頭にそのテーゼの立ち位置的な記号を付けたら、
結構誰にとっても通りのよいものとなるのでは、と気づいた。
それでこの問題は解決した。
原稿の方だが、これは最初から当日に配るつもりでいた。
内容というより自分のドイツ語の発音の悪さから理解されない
という恐れが十二分にあったため。
15分から20分で終わる分量に収める必要がある。
一通り書き終わった段階でこれでもかというほど
3000語に近い分量だった。
ちなみにネイティブのドイツ人が非常に早口に喋って
分当たり200語なのだそうだ。
ネイティブじゃなく、かつドイツ語がままならない人間なら
どうあがいても100語から150語だと踏んで、
なおかつ哲学(に限らず学術用語は特に、
そしてドイツ語は日本語の様に言葉を連結させることが出来、
東京特許許可局じゃないけど、一単語が長くなる場合がある)
の言葉を使うとなるとこれはかなり多め。
いかにして、あるいはどこを、削るかという勝負になった。
最終的には2200か2300くらいの分量になったが、
多分本番ではかなり規定時間をオーバーしたのではと思う。
終わってから無理なくこなせるのは1500語くらいだと思った。
作っている時はそんな事は分からなかったので、
3000語、論理的にきっちり展開させた分、
削ったら飛躍が出てしまうことがジレンマだった。
具体例みたいなのはほぼカットした。
普通だったらいかに自分の業績が大したものなのか
その意義をアピールするところなのかもしれないが、
誰からも難しいと言われる論文だったので
いかに簡単なのか、単純なアイディアに基づいているのか、
という点を強調して少しでも理解を得ようと自己言及文は
書いたが、そういうのもほぼ全カットだった。
これを読んで直して印刷し直して、を繰り返すこと10数回かな。
これは次回の話にしよう。
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